初恋の話。

中学2年生の7月、あとすこしで夏休み。

そんな時期に初めての恋をした。

相手は吹奏楽部の先輩。

同じパートの先輩がその先輩と仲良しで、

一緒に帰り道に話したりするうちに

気づいたら目で追うようになっていた。

でも残念なことに好きだと気づいた頃には

先輩には彼女がいて、

わたしには何もできなかった、

 

例え叶わなくても、毎日部活で会えるだけで

幸せだった。嬉しかった。

でも、好きになっても不毛な相手に

素直に好意なんか出せなくて

可愛くないことをたくさん言ったと思う。

ただただ何もできなくて、

時間ばかりが過ぎていって、

気づけば引退の時期だった。

 

同級生の男子が先輩と仲が良かったから

噂でいろんなことを聞いた。

彼女に同じ高校じゃなきゃ

別れると言われたこと

推薦で同じ高校に受かったこと

最悪なことにわたしは彼女と同じマンションで

うちの近所で先輩を見かけたりもした。

 

別に告白なんかできないけど

バレンタインはチョコレートをあげた。

甘いものが苦手な先輩のために作った

ビターなチョコレート。

味見したけど、甘党のわたしには

全然美味しくないや。

 

春コンがあるから受験を終えた先輩が

部活に戻ってきて、あと1ヶ月。

最後まで結局素直になんかなれやしない。

日に日に残された時間だけが減っていった。

 

ついに迎えた卒業の日。

いざその日を迎えてみると受け入れきれなくて

他人事のようで涙も出なかった。

 

うちの中学には卒業する時に

制服のネクタイを恋人同士で交換したり

後輩にあげたりする伝統みたいのがあった。

先輩には同じパートの後輩もいたし、

仲のいい男子の後輩もいたし、

そもそも彼女と交換するのかなとか、

可愛くないことばかり言っていたわたしは

選択肢にすら上がらないのはわかっていたし

欲しいなんて言えるわけもなかった。

 

案の定仲の良かった後輩が

先輩ネクタイくださいよ〜なんて言うから

まあそうだよなぁって思ってたら

「ダメ」って。

なんだよ彼女と交換か???

あークソこんな会話聞かなきゃよかった。

そう思ったのに。

「いる?」って聞かれて、

は?意味わかんない。

別に先輩にとってそんな伝統は

大した意味の無いものだったのかもしれない。

ただわたしが欲しそうな顔をしていたから

なんとなくくれただけかもしれない。

今でもあのネクタイの意味はわからないけど、

告白すらできなかった初恋の

唯一の報われたことなのかなって

そう思うんだ。

 

今でもそのネクタイは大事に取ってある。

わたしが初めて恋をした人、

いろんな感情を教えてくれた人。

あなたのおかげでわたしの世界は広がりました。

 

 

 

以上、何もできずに終わった

初恋のお話でした。

 

 

 

乳母日記

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