第五歩目

 

 

「許してあげようね」

 

すとんっ

という音が聞こえた気がした

みるみる涙が目一杯に溜まる

そうか、私、許されたかったんだ

他の誰でもない、私自身に

 

 

寂しかった

"嫌い"と思っていたそれは勘違いで

私は頑固で、プライドが高くて、

そのくせ寂しがりだって

知っていたはずだったなのに、おかしいな

 

 

 

言われる言葉ひとつひとつが突き刺さって

スイッチを押したように涙が止まらなくなる

段々何を言われているのかも分からなくなって

ただ必死に心の中で謝り続けた

私はちゃんとここにいるのに、

わたしあの頃からずっと、迷子だった

いまどこにいるんだろう

どこに行けばいいんだろう

 

わたしは、何なんだろう

 

 

「それでもいい」

その言葉が、そう言ってくれた人の温もりが

迷子のわたしを連れ戻した

私の頑固で脆いプライドを溶かしていくような

そんな気がした

 

 

 

気付くのに遅いも早いも本当にあるのか分からない

それでも気付いて良かったと、

そう思わずにはいられない

 

もし数年後の未来の私が今の私を見たら

どう言うだろう

「しょうもないことで悩んでるな~」

そう笑うだろうか

"今"は長い長い道のりの一つの通過点に過ぎない

きっと、大したことはない

だけどそう気付けたことは

私にとっては大したことなのだ

なにより私はもう

自分の感情すら認められない寂しい人に

戻りたくはない、戻らない

 

 

足取りはしっかりしている

最初に会ったときの、あのおまじないを胸に

今を乗り越えていく

 

 

 

乳母日記

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